ライフライン設備の維持管理
株式会社 NTEC
奥村 一郎
私達が生活していく上で、通信は目に見えない空気のような、あって当たり前の存在です。特に最近約10年間の、インターネットが代表する情報通信社会の急激な進展に伴い、これを支えるライフラインとしての通信設備の重要性がますます高まってきています。
通信地下設備には、通信用トンネル(とう道)、マンホール、地下管路等があり、これらの中に通信用の光ファイバケーブル等が収容されています。
日常時においても、地下に敷設されている光ファイバケーブルが種々の要因により傷害を受けた場合は、通信の途絶等その影響が全国にまで広がる可能性が大です。また一方で、地震や洪水等の非常時においても、あるレベルの通信機能は確保出来る状態にしておく必要があります。このためには、設備に対する日常の維持管理が重要です。
通信設備と同様に、ガス・電気・水道・下水・道路・橋梁等のライフライン構造物は、設備を常に良好に維持管理していくために、日常の調査・点検・診断の実施と、さらにこれらに基づき適切な時期に最適な方法で補修していくことが不可欠です。これにより初めて、構造物としての機能を損なわずに、かつ経済的に、耐久性を向上させることが可能になります。
我々ライフライン事業に携わる技術者は、設備建設や保守に関する技術に対して日々自己啓発することと共に、設備のあるべき姿に対する哲学を持つことが大切だと思います。私は、関西ライフライン研究会が、そのための一つの貴重な場であると考えており、会員が互いに切磋琢磨及び連携して、ライフライン設備のさらなる信頼性向上・高度化等に寄与していけることを願っています。
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